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3月10日
丹沢の沢 10:30~17:00 晴 釣果 ヤマメ2匹 釣り人にとってその前夜というのは大切だ。 フックを取替え、リールにオイルを点す。 明朝に立つ川の風景を想像しながらルアーを選んでいく。 この行為によって、身体と心を少しずつ 日常生活から釣りの境遇へとシフトしていく。 そういった意味では、特に解禁の前夜は重要な意味を持つ。 半年の間にすっかり錆び付いた感覚を蘇らせるために、釣りに集中するために、濃く煎れた珈琲を傍らに過ごすこの時間は、儀式のようなものだ。 よく晴れた朝。 今日は仕事も予定もなにもない。 すこし考えてみたが、この空にあるはずの雲のように、なにもない。 釣りに行けそうだ。 ところが今年はドタバタと慌ただしくて、解禁なんてまだまだ先のつもりだった。 当然大切な儀式を行っていない。 あわてて車に道具を積み込みながらも、どうにも落ち着かない。 忘れ物をしているような、気持ちが高揚しきっていないような感じがして、車のシートもなんだか座り心地が悪い。 気持ちを落ち着けるためにも、登山道を歩いて、まずは山の神にお参り。 後ろに控えている淵に心を奪われながらも、今年一年の釣りを祈る。 尺……とか、ヤマト……なんて言葉も浮かんできたけど お供え物が椿の花だけじゃ心苦しい。 『今年も無事に楽しい釣りができますように』 さぁ、今年の釣りに行こう。 意気揚々と釣り始めたが、この川のヤマメ達はなかなかに手強い。 人間の手によって放流されたわけではない魚の動きは素早く、ルアーを追ってくるのは一度っきり。 川の規模から言っても大物は期待できないが、そのかわりに放流魚然としていない魚を始めの一匹に指名することができる。 魚は何度も確認できたが、ようやく釣れたのは二時間後。 小さな川に似合いの小さな魚。 だけどその体は川の色を映しこんでいる。 やがてもう一匹。 しかしその後が続かない。 二俣をより水量の少ない左へとる。 人も入っていないのではないだろうかと期待しての選択だ。 すこし進むと小さなゴルジュと倒木の組み合わせ。 気をつけて、そっとキャスト。 奇跡的にも百回投げて一回入るかどうかというくらい、キレイに枝を避けて一番奥の落ち込みまでルアーが届いた。 トゥイッチをかけて、コレで食わせる!つもりのタダ引きに切り替える。 緊張しながらのリトリーブだったが、ルアーは何事もなく手元に戻ってきた。 これで釣れなきゃ仕方ない。あきらめることもできる。 なにせ今日から始まったばかりなのだ。 これからいくらでも釣りができるのだ。 ヒットルアー mogミノー ピュア3.5g
by masuturi
| 2007-03-12 00:31
| 釣行記2007
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