鱒釣日記


ルアーで鱒を釣ってしまう日々。
by masuturi
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その先にあるもの。

4月2日
谷太郎川 6:00~16:00 曇/雨
釣果 ヤマメ8 イワナ4

俺と相対しているその男の首は太く
道着からのぞく腕も十分な力を感じさせた。
体重は90キロほど。俺よりも優に二周りは大きい。

男が巨体に似合わぬ身軽さで先に動いた。
しまった。
先手。取られた。
腰を落とす。
胸を張る。
これで戻った。
再び探り合う。

加納治五郎が提唱して以来、戦場の殺人術だった柔術は
柔道と言うスポーツとなって普及した。
しかし今、お互いのプライドを賭けている二人の闘いは
古の時代と同じ匂いを放ちはじめた。
相手を倒すこと。
そこだけに向かっていく。

(注:これは釣行記です。長い前フリですが、もうしばらくお付き合いのほどを)

じれた男は飛び十字を仕掛けてきた。
ある程度予測していた俺は、ぐっと体を硬直させて堪える。
腕を伸ばされないようにしながら、男の体を下に落とす。
『そんな技が極まるとでも思ったのか?』
そう言わんばかりの視線で男を見下ろす。
抵抗のできない男は下に落ちていくばかりだ。


最悪!
よりによって踏ん張ったときにちょっと開いた
ヒザの上に、あのやろー落ちてきやがった。
バキバキッとヒザの靭帯が
乾いた小枝を踏んだような音を立てる。
いてててて!
いやマジで痛いって!


と言うわけで、ヒザを壊してしまった。
歩けないことはないんだけども、本格的な遡行となるとちょっとキツそう。

ダム下の中津川で午前中を無為にすごし(いわゆるボウズ)
さて、どうするか?といったところ。
遡行しなくていいのは助かるんだけど
変化の少ない本流での釣りはちょっと飽きたので、山の中の渓流にでも行きたい気分。
近くに谷太郎川が流れていたことを思い出し、向かった。

谷太郎川は小さな渓流だ。
川幅はせいぜい2~3メートル。
わざわざ訪れる価値は少ないのかもしれない。
しかし今日は『わざわざ』この川を選んだ。
なぜって谷太郎川は比較的穏やかな渓相で
しかも川沿いに登山道が走っているという、実にヒザに優しい設計なのだ。


林道に駐車して川の様子を伺っていると
上流から餌師が一人下りてきた。
挨拶をかわすと『これから放流があるだとかで、車止めのところにいっぱい人が待っているよ』と教えてくれた。
うわ、嫌な日に来ちゃったなぁ。
その人は『そんな風に魚釣っても楽しくねぇから』と言って、さらに下りていっってしまった。
なんだかカッコよかったので真似したかったんだけど
ウブな放流魚相手に『ぬぉーーースゴイチェイスだ!!』とかちょっぴりバカっぽいこと言ってみたくもあったので、行ってみよう。

幸い車止めには一台分の駐車スペースが残っていた。
川をのぞいて見ると、ゆるい流れに定位している魚。
その前にクーラーボックスを持ち込んで張り付いている釣り人。
鱒釣り場みたいだな。
すき間を見つけてミノーを投げてみると、スゴイチェイス。
ボロボロのヤマメばかり立て続けに3匹も釣ると
ルアーを投げているその場所に餌師が入り込んできた。
もうそのクーラーの中に何十匹も入ってるんだから十分でしょ、と思うが
こんなことで言い合うのはあまりに悲しいので、上流に向かって歩き出す。

いつにもまして水量の少ない谷太郎川では
狙えるポイントもそれに比して少なくなる。
ほとんどのところは足首までの深さしかないのだ。
どうやら上流に入っているのは自分一人だけのようだ。
雨で魚の警戒心も薄くなり、反応は上々。
c0062039_3124925.jpg

堰堤をいくつか越えると、だんだん渓相も良くなってくる。
釣れる魚もだんだんキレイになってくる。
下流でいつまでも放流魚に囚われていたら、その先にある光景や魚は見れなかったのか。
そう思うと、あの餌師に感謝すらしたくなる。
c0062039_32738.jpg

だけども、この川の規模ではその先、生き残るのは難しいんだろうなぁ。


キャンプ場まで来たところでヒザの痛みが限界に。
雨足も強くなってきたので帰ることにする。
唐沢との分水嶺まで行きたかったのになぁ。

車止めのあたりには、もう釣り人はいなかった。
同じく魚の姿も見えなくなっていたが、ミノーを投げてみるとイワナが追ってきた。
2匹だけ釣って持ち帰る。
今夜はイワナご飯だ。
c0062039_321424.jpg


ヒットルアー  ツインクル45S ツインクル45SD アレキサンドラ50S
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by masuturi | 2006-04-03 14:22 | 釣行記2006 | Comments(12)
Commented by t-fuku at 2006-04-03 15:29 x
>ヒザ
大丈夫ですか?!
川は常に危険と隣り合わせですからね。お互い注意しましょう・・・

私も、捻挫や転落あります。まじで帰れないか?って思ったこともあります。基本は単独釣行なので、本流をメインにしているにも実はそういう理由もあります。

本流でも、転倒や石にぶつけたりすることはよくありますね。
Commented by JIMO at 2006-04-03 17:48 x
冒頭部、力が入りました。(笑)
相手が巨大な魚なのか、屈強な有段者なのか錯綜してしまいます。
大丈夫ですか?それでも釣りに行ってしまうんですね。
Commented by mog at 2006-04-03 23:06 x
ヒザの具合、いかがですか?
私も以前、早戸で転倒し、1週間松葉杖生活でした。
でも行きたくなるんですよね。
我慢できず、管釣りへ出かけた思い出があります。

イワナご飯、めちゃめちゃ美味しそうですね。
たまには魚をキープしようと思っているんですが、釣りしている時はビニール袋かなんかに入れて持ち歩くのかな?
Commented by masuturi at 2006-04-03 23:48
しばらくの間、まっすぐに伸びなかったヒザも
だんだん調子が戻ってきました。ご心配おかけしました。
どうもありがとうございます。

>t-fukuさん
本流の強い流れとコケは曲者ですよね。
何度すっころばされたことか。
鮎師に生まれなくて良かったなぁ。

>JIMOさん
冒頭部は餓狼伝(風)ですね。
でかい相手はやりにくいです。魚だったら歓迎なんですけどねー。

>mogさん
ああっ!かか管釣りって手があったか!
いや、すっかり失念していました。

今頃の時期はビニール袋に塩をひとつかみ入れておいて
魚もその中に突っ込んでしまいます。
もうちょっと暖かくなったら、小さな保冷財と保冷バッグもザックの中に入れておきます。魚が釣れなくても、飲み物を冷たいまま持っていけるのでうれしーです。

イワナご飯は米1合に対して酒を10ccと醤油を少々。
イワナを入れたら、そのまま炊飯器のスイッチを押してしまいましょう。
こりゃ美味しい。
Commented by TABO at 2006-04-04 11:38 x
masuturiさん足大丈夫ですか?凄い気合ですね。心技体でなされた釣果ですね。masuturiさんの「イメージ」少し変わったです。
それと、masuturiさんのページもリンク貼らせていただいても良いでしょうか?
Commented by JIMO at 2006-04-04 22:12 x
 >『ぬぉーーースゴイチェイスだ!!』
コメント忘れてました。
みやさんとことでも笑わせていただきましたが、
万が一使ってしまうと、あとでじわじわと恥ずかしくなってきますよね~。
山の中で叫んでいる場面をひとり想像してみてはニヤニヤしてしまいます。(笑)
Commented by masuturi at 2006-04-05 00:23
>TABOさん
気合なかったですよ。
むしろ気抜けた、お気楽釣行でした(笑)。
体育会系の無意味な精神論や大声は
最も苦手なものなので、たぶんイメージはそのままで大丈夫だと思います。
…ところでTABOさん、どんなイメージを抱かれていたんでしょう?って最近そんな質問ばっかしてますね。

リンクの件、ありがとうございます。こちらからも貼らせてください!
Commented by masuturi at 2006-04-05 00:27
>JIMOさん
いやいや、自分はさすがに叫びませんでしたよ(笑)。
英国紳士くらいにはなれそうな礼儀正しさで、釣りしてました。

それと突っ込まれる前に言っておこう。
みやさん!ごめん!
Commented by JIMO at 2006-04-05 20:05 x
>masuturiさん
いやいや、想像したのは「スゴイチェイスだ!!」と叫びながら釣友の姿を探す自分の恥ずかしい姿です。(笑)
Commented by みや at 2006-04-06 00:43 x
おばんです。
久々にブログ界を徘徊してたら、ネタになってましたね(苦笑)
膝は痛いですねぇ。渓流だとちょっとツライ。
そんな思い通りの釣りができない場合は、思いのたけを声に出してみるといいかもしれません…ぬぉーーーー(以下自粛)
Commented by TABO at 2006-04-06 15:27 x
masuturiさん、リンク、こんなのですみません。頑張ってカッコよくしますので暫くコレでガマンしてください。
Commented by マスツリ at 2006-04-08 02:06 x
>JIMOさん。
もう想像だけでなく、心の奥から叫んでやってください(笑)。
釣友に『ナニソレ?』って顔されたら、長い物語をムリヤリに語ってやってください。


>みやさん。
いや、あれですよ。
みんな、そのあまりのムキダシな叫びに心打たれたんですよ。
『うわぁ……丸出しだよ、この人…』って。
つまり渓流ルアー界でのカリスマなんですよ!!(ニジマス部門)


>TABOさん。
リンクありがとうございます。
こんなの……って、十分かっこいいですよ。
このブログのシンボルカラーである灰色(心の闇)が使われているのが、なおグッドです。
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